正調江差追分の唄い方4

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江差昔の街並み)

以上を踏まえて、さらなる情緒情感はいったいどのようにすれば出せるのであろうか。

 

 ここから先は、初級、中級を脱した人向けの内容となろうか。

初級、中級を脱した人とは、基本となる八つの節・・・出だし、せつど、二声上げ(のし)、もみ、本すくり、すくい、半すくり、止め、をマスターした人のことですが、この基本をマスターすること自体並大抵ではないのは周知のことであります。

 江差追分でいうところの情緒を出すには、ひたすら練習稽古するしかないと言う人もいるようだが、それでは答えになっていない。

なるほど基本をマスターした後はひたすら唄い込んで、自然と情緒が感じられるような追分にするというのが理想だが、問題はどう練習稽古したらいいのかということだろう。

 情緒を出すためには何と言っても押し引き緩急メリハリが大切であります。

 

まず押し引きだが、

 「のし」には押すのし引くのしの二種類があって、押すのしの方は「二声上げ」と

いって、各句の後半の節々にあたる母音をのばす部分を押しぎみに、あるいはすくい上げるように唄う節のことであります。

 ある師匠の少し前の譜面などを見ると、ここは「二声おし」となっていて、押すのしであることを強調しておりますが、今は「二声上げ」が統一した言い方になっております。

 この「二声上げ」は基本譜では太い波形で描かれているところですが、実に巧妙に描かれているなと感じ入りました。しかも、この押し引きには一種の法則があります。

押すのし(二声上げ)は「せつど」と「せつど」の間にあり、また、引くのしは「すくり」の後にきます。

 この法則はいままでこれについて書かれたものを見たり聞きしたことはないので、あまり意識されていないのかもしれない。

波は押したら、引くのが自然の理でしょう。

 

次に緩急とは、

読んで字のごとく遅かったり速かったりということだが、例えば、波のうねりを表すノシはゆったりと、「もみ」は速く唄うというようなことであります。ノシをゆったり、「もみ」もゆったりでは歌がだれてしまって情緒が出ません。

 

最後にメリハリとは

尺八用語のメリ、カリからきているように高低強弱をつけて緩めたり、張り上げたりすることであります。例えば、三節六節は海底に引き込まれる感じで唄い、五節は熱情ほとばしって血を吐く思いで唄うというようなところに何とも言えない情緒が表れるわけです。 

 要はこういうことが無意識のうちにできるように修練を積みましょう。

 

 最後に、人は十人十色であります。それぞれが身の丈に合った唄い方をすることが肝要です。

 

                                 了