初めての白内障手術

 わしは元々、いわゆる、ど近眼なのだが、それでもどうも最近急に右目の視力が落ちて来て、字が見づらくなったなと感じたので、医者に行って眼底検査をしたら、『網膜前膜』という病の症状だという。目の奥の網膜に前膜と言う膜があって、それは年とともに自然にはがれて行くんだが、なんかの拍子に残ってしまう人がいるという事だ。その膜が剥がれきれないで網膜を引っ張ってしまう症状の事らしい。
 これは手術でしか直しようがないということで、大きな病院を紹介してもらって手術をすることになったわけです。そこの医師に相談したところ、白内障が進んでいるのでまずはそちらをやってどの程度視力が回復するかを見て、そのうえで考えましょうというので、まずはリスクの少ない白内障の手術をすることにしました。両目を連続して行うということで、4日間入院することになった。一日おきに左右を行うので4日間必要なのである。
 手術は特段の障碍もなく15分程で終わった。翌日には眼帯がはずれたので、眼鏡をかけて見たら、なんとぼやけて全然見えないのである。もともとが、ど近眼だから眼鏡なしでいける程ではないが、かなり視力が回復したのは間違いない。こりゃ眼鏡を作り直さねばならんようだ。
 病室はできれば個室をと希望したがあいにく空きがなくて4人部屋である。いやな予感がしたが、案の定、隣人のいびきで眠れない。まいったなと思っていたら、タイミングよく病院側の都合で部屋替えがあって、別の四人部屋に移ることになったんだ。ところがラッキーと思ったのもつかの間、今度のジジイ達ときたら、馬並の屁の合唱はするは、いびきの合唱はするは、やたらにタンが喉につまってゲロゲロするはで、まさに地獄のような拷問の日々を過ごすことになってしまった。
 そうしたなかでも一つだけよかったと思えるのは、追分のイメージトレーニングが出来たことかな。人の唄を聴いているような感覚で自分の唄を分析できたのである。何年か前に追分セミナーで指導を受けたことを録音してあったのだが、それを聞きなおして軌道修正できたのである。でももう入院はこりごりだ。